ウェスのソロは、マイルスバンドのどのプレイヤーのソロよりもモダンで、現代でも十分に通用するようなアウトラインを駆使したソロになっている。驚きだね。そして、ソロ以前にイントロが格好いい。ギターのコード・カッティングによるイントロもサウンドがモダンだ。音は取ってないけれど、内声でぶつける音構成の押さえ方なんじゃないかな。そして、ウェスの演奏の方がマイルスの演奏よりもスピードが速い。これも格好良さを印象付ける原因なのだろうと思う。
イントロが格好良いのは最後の「Moanin'」もだ。この曲はアート・ブレイキーで有名だけれど、アート・ブレイキーの演奏にはないイントロが付加されていて、それがとにかく格好良い。また、この曲もアートの演奏よりもウェスの方が速くてスピード感がある。最後のドラムとの4バースまで、全く失速することなくドライブする演奏は本当に気持ちよい。
それにしても、ウェスとオルガン・トリオは相性がいいと思う。このアルバムもそうだけど、「Boss Guitar」や「Wes Montgomery Trio」もとても良い内容だ。(現在の所、ジミー・スミスとの共演については?)曲順は前後するけれど、2曲目の「Lolita」も、とてもアドリブとは思えない「嵌り具合」だし、続くブルースの「Blues Riff」はウェスお得意の3拍子で、こちらもモダンな仕上がりになっている。3拍子のブルースということで、一部聞いたことがあるフレーズが出てくるけど、それはこの曲に限ったことではない。ウェスだって常に新しいフレーズを弾くことなんかできるわけがない。「Dangerous」は曲名とはうって変わって、ちょっとかわいいキメがある。この曲は速さもミディアムだし、ボリュームも控えめ、とても落ち着いた演奏なのだけれど、これがちっとも飽きない。それどころか、こういう曲を永遠に聞き続けていたいと思ってしまう。特にウェスのソロはいつまでも聴いていたいと感じる。理由は分からない。ギターの音が美しいからかもしれない。単に、この曲が私に合っているのかもしれない。
Moanin'の前に、このアルバム唯一のスローナンバー「Yesterday's Child」が収められている。単音で静かに歌い上げている。今、調べてみて気がついたのだけど、このアルバムのオルガン奏者・メルヴィン・ラインは「Wes Montgomery Trio」でも共演している人だったんだね。だからアルバムの雰囲気も似ている。同時期の録音で「Guitar on the Go」というアルバムもあるようで、メルヴィンとの共演盤だ。こちらも是非入手したいんだけど、今週末に仮住まいに引越しなんで、しばらく通販はお休みの予定。でも、新居が建つまで売れ残ってるか心配だなぁ。 |