８５年録音のドラムレスギタートリオ。さすがに往年と較べると、レイニーのギターはラインが緩くなってしまっているが、ウルサイことをいわなければ、充分に愉しめる内容となっている。ベニーゴルソンの哀愁曲、Hassan's DreamとOut of The Past.特に前者では、こういうソロをやって欲しいなというこちらの願望通りのソロを、レイニーとフラナガンはやってみせる。よく出来た哀愁曲は、斯様な哀愁のソロを引き出すのか。アルバムの一曲目にこの曲を持ってきたのも、頷ける内容だ。I Could Write a Book.Everything I Loveの２曲は、メジャーな明るい曲。題名にもなっているWisteriaは、個人的には余りおもしろい曲とも思わないのだが。レイニー作曲のOvalsはいかにもこの人らしい作風。
そして最後のAll The Things The You Are はボーナストラックで、これだけ９０年録音のソロギター。本来のこの人らしいテンションと空気感を保持した演奏で、これはなかなか立派なソロギターだ。最後に、この出来のいいソロギターを配置したことで、作品全体がピリリと引き締まった。
1 Hassan's Dream
2 Wistaria
3 Ovals
4 Out Of The Past
5 I Could Write A Book
6 Everything I Love
7 All the Things You Are
Jimmy Raney (g)
Tommy Flanagan (p)
George Mraz (b)
Recorded 1985.12
JIMMY RANEY TRIO ｢WISTERIA｣タイトル曲はジョージ・ムラーツのオリジナル。
１・｢HASSAN’S DREAM｣・ベニー・ゴルソンが書いた曲。
哀愁漂うマイナーチューンが印象的。途中のベースソロも聴きどころ。B・GOLSONらしい曲。
２・｢WISTERIA｣・ベースに続くピアノ、ギターが美しい。
抒情味のあるバラード。渋いところがいい。
３・｢OVALS｣・ややアップテンポで流麗なメロディが印象的である。JIMMY RANEYの曲。
４・｢OUT OF THE PAST｣・ピアノが美しい。メランコリックな雰囲気がある。B・GOLSONが書いた曲。
５・｢I COULD WRITE A BOOK｣・軽快でのりのよいリズミカルな曲。
６・｢EVERYTHING I LOVE｣・メロディアスなサウンドのスタンダード。
７・｢ALL THE THINGS YOU ARE｣・唯一ギターソロで演奏されている曲。
