タイトル通りに本当に爽快な一枚。前倒しでドンドン転がっていくグルーヴィーなピアノに、後乗りのベースとドラムスが追っかけごっこをする。この三者の微妙なタイミングのずれがスゥインギーなサウンドを作り出している。ベースのポール・チェンバースの音が良く聞こえてサイコーだ。彼のリーダー作ベースオントップより、こっちのプレイの方が好き。一見(一聴?)フィリージョージョンズと間違えそうな位、やくざな乗りのドラムスのアートテイラーのプレイもカッコイイ。少し控えめのフィリージョーという感じだ。アートテイラーはトレーンのジャイアントステップスでも、ワイルドなドラムスを叩きまくっているけどね。リズムセクションとピアノの絡みを勉強するのにも、これは最適の1枚と言えるでしょうね。
R.ガーランドを称して地味なピアニストといった評価が聞かれる。それは‘50年代中頃、マイルスのクインテットに参加して以来、印象深い演奏を数多く残してきたことが、逆に「影の功労者」的なイメージで見られているのかもしれない。このアルバムでは上記のクインテット時代の合間にトリオで演奏された、言わずと知れた大人気盤である。ここでは従来、マイルスの影で目立ちにくかったガーランドの個性が非常によく出ていて、巷ではよく、1曲目の「C JAM BLUES」の良さばかりが強調されるが、「WILL YOU STILL BE MINE?」「WHAT CAN I SAY,DEAR」といったアップテンポのナンバーにおいても本当にリズム良く、ファンキーなピアノを繰り広げている。また、こんな曲に限って、曲の最後にダメ押しの「ジャ~ン」とやるのも彼独自のスタイルで、今や何となく微笑ましく感じる。実を言うと、P.チェンバースのベースが、ソロの演奏で少しピアノとマッチしていないかなという自論も持っているのだが、仮にこれが弱点であったとしても、陽気なガーランドの本領発揮したアルバムと言えよう。余談であるが、名前の「レッド」については、もともとボクサー出身だった彼が髪の毛を赤く染めていたことに由来している。そういえば、身につけたファンキーなスタイルは、こうした「経験」から求められる瞬時の判断から生み出されていったのかもしれない(考えすぎか)。
レッド・ガーランドの名義のアルバムですが、ポール・チェンバースのウォーキング・ベースが聴き所だと僕は思っています。JAZZのベースの良さが分かるでしょうし、音がせまってくるようでもう最高の演奏です! |