実にハッピーなFly Me to the Moonです。僕の記憶と認識によれば、Fly Me to the Moonはもうちょっと悲しい曲調のはずですが、ピーターソンが弾くとピーターソンのハッピーさが原曲を上回って、明快で華やかなFly Me to the Moonに仕上がっています。アドリブ・アレンジはピーターソンになじみのある方なら一聴してそれとわかるもの。ピーターソンの代表作「We Get Requests」に収録されているような、概ね音の粒が抑えめな演奏とは対照的に、Fly Me to the Moon、Time for Love、Smile、Someday My Prince Will Comeと、全体に「ピーターソニズム」全開のアルバムといえると思います。ピーターソンの1枚めには「We Get Requests」をお勧めします。が、何枚か聴いて気に入ってくれた友人に、「こういうのもあるんだよ」と勧めたくなるアルバムです。ちなみに僕はサックスを吹きます。Fly Me to the Moonをつい切なげに解釈して演奏するからかもしれませんが、こういうやり方があるんだ、と、このアルバムはその意味でも参考になります。
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