ファンキー・ジャズにも色々ある。コッテコテの「どファンキー」もあれば、そこはかとなく香る「お洒落なファンキー」もある。とにかく、ファンキー・ジャズは聴いていて、居抜きで楽しい。このファンキー・ジャズは「洒落たファンキー」。それも、とびきり「お洒落で粋な」ファンキー・ジャズである。そのアルバムは『Bags Meets Wes』。1961年12月の録音。パーソネルは、Milt Jackson(vib) Wes Montgomery(g) Wynton Kelly(p) Sam Jones(b) Philly Joe Jones(ds)。アルバム・タイトルの「Bags」とは、ヴァイブのミルト・ジャクソンの愛称。「Wes」とは、もちろん、ギターのウエス・モンゴメリーのこと。冒頭の「S.K.J.」。ミルトとウエスの、ブルージーで疾走感のあるユニゾンのテーマ演奏を聴くだけで、このアルバムの内容が約束されたようなもの。絵に描いたような「ファンキー」。ファンキー・ジャズって、テーマ演奏がキャッチャーで格好良い演奏が多い。この「S.K.J.」も例外では無い。ミディアム・テンポのブルージーなブルース。とにかく、ミルトとウエスが格好良い。バラードの「Stairway to the Stars」などは、思わず溜息が出るほど美しい。そこはかと底に漂う、芳しきファンキーな香り。ウエスの情感溢れるソロ、ファンキーっぽさをグッと押さえた、インテリジェンス溢れる、輝くようなミルトのヴァイブ。 |