私が所有するアルバムをご紹介いたします。
Topページ
好きなアルバム
最近聴いたアルバム
YouTube
気になるサイト

  For Sure

ジャケットは、ケニー・ドリューの素晴らしい笑顔。何が面白いのか? 気になる。ともかく演奏内容も、ドリューの笑顔と同様に屈託なく、明快なものとなっている。テーマ部分が大胆な1曲目、サム・ノートのミュート・プレイが素晴らしい2曲と、ハード・バップが華やかだった5〜60年代の匂いが漂っているのに気付く。実直なチャールス・マクファーソンのアルト・サックスも、その匂いに大きく寄与しているし、ドリューのピアノもソロ・ピアノのような耽美的なタッチではなく、どこか埃っぽさが感じられて、何ともいい感じだ。ただ、昔のハード・バップそのまんま、ということでもない。3曲目のクールなコード進行や、ベースのみをバックにフロントがテーマを吹く4曲目などを聴くと、やはりハード・バップから一歩進んだ要素が見られる。「Dark Beauty」に至ると、もうハード・バップ云々という段階ではない。ドリューが70年代に欧州で新たな姿を示したヒット作をホーン入りで演奏するというのもユニークだが、ここでの穏やかな音の空間は、リアルタイムのものである。

 

1. For Sure
2. Mariette
3. Arrival
4. Blues Wail
5. Dark Beauty
6. Context

Sam Noto (tp)
Charles McPherson (as)
Kenny Drew (p)
Leroy Vinneger (b)
Frank Butler (ds)

Recorded 1978.10

最後の曲「Context」で、雰囲気は一気にハード・バップ真っ盛りの時代に引き戻されるのだ。どこかで聴いたなあと、頭を捻った結果、ドナルド・バード&アート・ファーマー『2 Trumpets』(1957)で演奏されていた「Contour」だった(ジャッキー・マクリーンの名作『4, 5, & 6』でも演奏されている)。やはり、これは5〜60年代にハード・バップの只中に身を置き、その匂いが染み付いた制作者、ドン・シュリッテンの意図したものだろうか。最後の最後で、50年代後半の空気に「ストン」と見事に収まった感じだ。シュリッテンが立ち上げたザナドゥ・レーベルは、5〜60年代を支えた地味なミュージシャンが新たな注目を集める機会を与えたが、ドリューの場合は他の作品が華やかなせいか、このアルバムが却って地味で目立たない気もする。とはいえ、ザナドゥ作品は概ね地味・・・ジャケットのほとんどがモノクロなのも、制作者のこだわり?

 

 

 

 

Copyright © 2011-2015 toppe 2 All rights reserved.
by ジャズアルバム紹介



inserted by FC2 system