最後の曲「Context」で、雰囲気は一気にハード・バップ真っ盛りの時代に引き戻されるのだ。どこかで聴いたなあと、頭を捻った結果、ドナルド・バード&アート・ファーマー『2 Trumpets』(1957)で演奏されていた「Contour」だった(ジャッキー・マクリーンの名作『4, 5, & 6』でも演奏されている)。やはり、これは5〜60年代にハード・バップの只中に身を置き、その匂いが染み付いた制作者、ドン・シュリッテンの意図したものだろうか。最後の最後で、50年代後半の空気に「ストン」と見事に収まった感じだ。シュリッテンが立ち上げたザナドゥ・レーベルは、5〜60年代を支えた地味なミュージシャンが新たな注目を集める機会を与えたが、ドリューの場合は他の作品が華やかなせいか、このアルバムが却って地味で目立たない気もする。とはいえ、ザナドゥ作品は概ね地味・・・ジャケットのほとんどがモノクロなのも、制作者のこだわり? |