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 Tokyo 96

皇太子ご夫妻が好きな音楽として、バッハやラフマニノフと並んで、キース・ジャレットの名前が上がっていることをご存知だろうか。本作は、優れた技術と才能をもったピアニストのライヴがパッケージングされたアルバムであると同時に、記念すべき日本初のロイヤル・ジャズ・コンサートの記録でもある。1996年3月30日、キース・ジャレットという1人のピアニストによって、皇室と一般人が初めてジャズという音楽を共有するという、日本の歴史に新鮮な1ページが記されたのである。
東京公演を収録したライヴ盤。1の冒頭からキースの鬼気迫るフリー・インプロヴィゼーションが楽しめる。G.ピーコックとJ.ディジョネットも好サポート。キース・トリオは現存するピアノ・トリオとして間違いなく最高峰のひとつだと実感させられる1枚。

1. It Could Happen To You
2. Never Let Me Go
3. Billie's Bounce
4. Summer Night
5. I'll Remember April
6. Mona Lisa
7. Autumn Leaves
8. Last Night When We Were Young
9. John's Abbey
10. My Funny Valentine/Song

Keith Jarrett (p)
Gary Peacock (b)
Jack DeJohnette (d)

 

"Bunkamura Orchard Hall",
Tokyo, Japan, March 30, 1996

この録音がされた当日にオーチャードに観に行きました。実際に観た時は涙が出るほど素晴らしいライブだったのではっきり覚えています。CDもあの時の雰囲気を上手くばっちりとらえていて感涙です。コンサートでもこのCDでも一番印象に残ったのは、"Mona Lisa"でのゲイリー・ピーコックのベース・ソロ。ステージの照明までが明るくなったような素敵な瞬間でした。"Never let me go" シングルカットして売ってしまえばいいんじゃないかと思うほど良い演奏で涙です。シンプルで流麗な彼のピアノのタッチがなんとも言えず琴線に触れてきます。ビリーズバウンスは、この曲がもともと好きだということもあるので、特にやってくれて嬉しかった。三人の演奏が身がもだえるほど凄い! 嬉々としてやっている感じがストレートに伝わってきて素晴らしいです。"Summer night"のエンディングで聴かせるピアノのオルゴールのようなプレイ。"I'll remember April"でのジャックの雨だれの音のようなドラミングとキースの美しい盛り上げ方。"John's Abbye"での空から降ってくるようなキースのピアノの音。そして、"My Funny Valentine/Song"のキースのピアノの何とも言えずロマンチックな歌い方! 最高の一夜だったし、あれからも時々このCDを聴いてはあの場の特別な雰囲気と彼らの美意識がギュッと詰まった演奏を思い出します。

 

これはビジュアルも観てみないとわかりませんが、どうも、いまいち、......スティルライヴやウィスパーノットのような猛烈な盛り上がりも無いし、ブルーノートやキュアのような芸術的な昇華も無い。チェンジレス/インサイドアウトのようなとがりも無く、ディアヘッドインのようにフランクでも無い。なんかこう、おとなしい感じがするんだなぁ、感じとしては.....そう、最新作アップフォーイットに近い感じ。ブルーノートであれだけ引っ張ったAutumn Leavesも実にあっさりしたもの、特にハプニングも無く終わってしまう。
もちろん、後半徐々に盛り上がり、ってぇウィスパーノットパターンはありますがBillie's BounceやJohn's Abbeyなど本来バカ盛り上がりのはずの曲もなんかいまいち、いやキースは元気そうなんだけど、どこかデジョネットがノリ切れてない感じ。ドラムを大フューチャーしたI'll Remember Aprilなんかもどこかイキきれてない。もしかしたらピーコックのプッシュが足りないのかな?そんなわけで、このアルバムではLast Night When We Were YoungとかMona Lisa、Summer Nightなんかのコジャレタバラッドってことになる。オシャレで落ち着いたジャズ、っていえばホメ言葉だけど、スタンダーズに関してはそのくらいでは満足いかないんだな、これが。DVDで観てみたらまた違うかも知れないけど。


キース・トリオによるアルバムの中でも、全体的に落ち着いた感じのする、しっとりと聴けるライブです。CD1枚なのに、12曲ものクレジット。10分を超える曲から3分たらずの小品まで、スタンダード、バップ、バラードを織り交ぜ、演奏の緩急も含め、静かめながら変化に富むライブの全体構成が、とても素晴らしいです。簡潔にまとまったアドリブの、零れるほど美しい旋律。カリビアン風の明るいリズム、バロック調のコーダや、シンプルで哀感に満ちたオリジナルなど、アルバムいっぱいに散りばめられたキースの魅力が、宝石のようにキラキラと輝いています。

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