97年頃から重度の慢性疲労症候群に悩まされていたという、キースの復活第1弾。彼にとっては初めての、スタジオ録音によるソロ・スタンダード集だが、曲解釈もさすがだし、メロディを紡いでいくようなそのプレイは瑞々しく美しい。キース・ジャレットという人の演奏の中でひときわ異彩を放ち、最も美しい1枚、それがこのアルバムです。題にあるとおり、なんとも形容しがたい演奏なのです。ただ、ただひたすらに美しい。しかし、あとにも先にもこのような演奏はキース自身でもこの1枚しか行っておらず、このあたりがジャズらしいというか、本当にキースが自分の部屋にふっと現れて、ピアノを弾いてくれているような。そんな感じに今の私には思えました。キース特有の唸り声も全くと言っていいほど入っておらず、あれが苦手な方にもお勧めできます。全ての音楽ファンに聴いていただきたい1枚です。
文句なく、本作品はキースの最高傑作だと思います。5 - 7分程度のスタンダート曲が淡々と演奏されていきますが、自宅での録音であるためか、または病気療養中であったためか、いつもの唸り声も聞こえません。しかし、その演奏の精神状態は内的にとてもintensiveなものであることが、それぞれの曲のメロディの訴えかけてくる強さから分かります。Blame It on My Youthはライブ盤のものよりさらに美しく、青春を回顧させます。Shenandoahは訥々とでも激しく新たにチャレンジする勇気を与えてくれます。何度聴いても、心が和らぐと同時に、希望を与えてくれます。私の幼い子供もなぜかこのCDを聴くと、機嫌が良くなります
キースジャレットと言えば、ケルンしか好きになれないアンチジャズファンも、このCDは絶対好きになれるでしょう。メロディが心に突き刺さる感じがします。でも少し悲しすぎるかも?横にいる音楽に疎い家内も、「この人はきっと死ぬことを考えて、子供の時のことなどを回想しながら弾いている」と言ってましたが、後で病気療養中の録音と聞き納得しました。ある意味、悲しいですが、癒されます。ハッキリ名盤です。 |