Keith Jarrett (p)
Gary Peacock (b)
Jack DeJohnette (d)
live in Lexington,
KY, October 9, 1987
本作は1999~2002年にキース・ジャレットが東京で行なったコンサートにとても近いと思います。2000年春のトリオでのコンサートは「Always let me go」2枚組になっていて、ちょっとだけ雰囲気が違う点がありましたが。シンプルなリズムを繰り返して、上り詰めていく曲想は、1999年秋の上野でのソロコンサート、2002年秋の上野および池袋のソロコンサートでよく聴かれました。
本作は米国でのトリオでのコンサートライブですが、曲想はキースに完全に委ねられているのか、「スタンダーズ1, 2」でのようなインタープレイを楽しむというより、専らキースの自由な曲想にひたすら酔うべきアルバムでしょう。デンバーでのDancing、チャールズ・ロイド・カルテットの頃からのキース魅力である疾走感あふれる曲。コンサートだと、ずっと中腰になって、弾き進めるんですよね。ダラスでのEndless、ゆっくりしたアルペジオが瑞々しく跳ね回るような演奏。私は、ソロでのスタジオ録音「ステアケイス」を思い出しました。レキシントンでのLifelineは、本作最高の出来映え。キースの硬いピアノ音で、しかしじっとりしたグルーブ感あふれるテーマが展開してゆく。リズムを積層させて行く度に、ピアノの前でキースがくねくねと、完全に忘我の境地で体をくねらせ、ボーカルの方も最高潮になるライブシーンが目に浮かぶよ!うです。ドラムとベースのソロも聴き応えあり。曲の構成はバルカローレ。ヒューストンでのEcstasyは静的なピアノのバックに、五月雨がなだれ打つかのようなドラムが最高。ソロであれ、トリオであれ、キース・ジャレットのコンサートに行く前の「予習」に最適な一枚。大変分かりやすいアルバムで、どなたにもお勧めです