A面の3曲、Bird's Mother、Ode to Charlie Parker、Far Cryは全部、パーカー・トリビュート的な曲ですが、なかなか好演奏ぞろいです。前2曲はピアノのジャッキー・バイアード(Jaki Byard)の曲ですが、Bird's Motherは、テーマのあと、リトル(Booker Little)、バイヤード、ドルフィーのバスクラ、カーター(Ron Carter)のアルコ、ヘインズ(Roy Haynes)と順繰りに、自己紹介ソロ?で、いかにもアルバムの一曲目という感じ。そういえば、このアルバムが、ドルフィー=リトルの初共演でしたっけ?Ode to Charlie Parkerは、ドルフィーのフルートも、リトルのトランペットも、リリシズムあふれるソロで、なかなか素晴らしいです。Far Cryは、これは英口語で「非常な相違」という意味ですが、作曲者のドルフィーによれば、「パーカーが生きていた時代の、彼の持っていた強烈なインパクトと、語られはするけれども、ほとんど聴かれなくなっている今のパーカーのポジションとの間のa Far Cryを意味している」んだそうで(ジャケット裏のカスクーナ(Michael Cuscuna)の解説より)。これは、実にドルフィーらしいアブストラクトな響きを生かした感じの佳曲。
B面一曲目のMiss Annもドルフィーらしいアブストラクトな佳曲ですね。ここらを聴いていると、ドルフィーのアルトとリトルのトランペットってのは、音色的に実に相性がいいのだなと思うわけです。バイアードのソロもかなりアブストラクト、と、けっこういろいろ書いてきましたが、このアルバムで私的に圧巻だったのが、B2のLeft AloneからB3のTenderlyへの流れです。Left Aloneは、泣きのマクリーン(Jackie McLean)が堪能できる、作曲者ウォルドロン(Mal Waldron)のバージョンも好きですが、このドルフィーのフルートによるバージョンもとても素晴らしいです。なんと形容したらいいんでしょう?暗さに沈んでいかない透明な美しさをたたえている・・・とでもいいましょうか。誰かもっと的確な表現があったら教えて〜でもって、Tenderlyは、ドルフィーのアルトの独り舞台。この無伴奏アルトで演奏されるスタンダード、ゾクゾクしますです。くぅ〜たまらんっ!て感じ、ラストのIt's Magicは、割と普通っぽい演奏ですが、ドルフィーのバスクラ・ソロも、バイヤードのソロもなかなか良い好演奏です。あ〜オリジナルが聴きたいっ!