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  Slow Drag

Full Album   

遅ればせながらCD初登場となったこの1967年のセッションで、トランペッターのドナルド・バードが、フュージョンと雰囲気作りに傾倒する以前、尊敬に値するハードボップのキャリアの断片をピックアップしていることがわかる。辛辣なトーンのアルト・サックス奏者のソニー・レッド、別名シルベスター・カイナーと組んで3度目の作品は、冒頭のアルバム・タイトル曲(ドラマーはビリー・ヒギンズで珍しいことに、饒舌な瞬間が捉えられ、ファンキーな言葉の宣言で彩られている)ではソウルフルでリラックスしたグルーヴに落ち着き、魅力的で冷静な音を持続させている。アルバムにはスタンダードの「Secret Love」や「My Ideal」の優美な解釈、そしてベーシストのウォルター・ブッカーと共にリズム・セクションでフィーチャーされているピアニストのシダー・ウォルトンによるオリジナルの上出来の2曲。このアルバムに大地を揺るがすような点はないが、楽しめる1枚であることは確かだ。

 

1. Slow Drag
2. Secret Love
3. Book's Bossa
4. Jelly Roll
5. The Loner
6. My Ideal

Donald Byrd (tp)
Sonny Red (as)
Cedar Walton (p)
Walter Booker (b)
Billy Higgins (d, vo)

 

Rudy Van Gelder Studio,
Englewood Cliffs, NJ, May 12, 1967

知性派トランペッターのバードの67年録音作品で、そろそろ70年代のソウル路線に向かう思いが震え始めた過渡的なサウンド・コンセプトが聴けるもの。バランス感覚と方向感覚に優れ、絶えず時代の声を受け止めてきた達人ならではのキャリアを知るにも最適の一枚。
自分の中では、久しぶりにD.バード(tp)作品を聴いたように思います。本作('67年作)では、D.バード+S.レッド(as)がフロントの2管で、C.ウォルトン(p)、W.ブッカー(b)、B.ヒギンス(ds)といった布陣。70'sに入ってからの一連のスカイハイ・プロダクションものでのD.バード諸作を好んで聴く私の様な初心者にしてみれば、本作を含むそれ以前の作品については、もっともっと聴く耳を養わなければいけないのですが、、、60's末という時代を考え、本作もあまり”ジャズ然”としたところよりも、そこから少しはみ出しそうになっている辺りに思わずニンマリとしてしまいます。B.ヒギンス(?)の、voともリーディングともつかぬ声(ラップなのかな?)が入った[1]などはその典型かも知れませんし、軽いボッサテイストの[3]なども、あと少しでフュージョンと括られてもいいような爽やかな感触を受けます。[4]に至っては、B.ヒギンスの叩くdsのリズム、D.バードのtpソロ、S.レッドのasによるテーマなどを聴くに連れ、ジャズロックの風合いすら感じられます。常々、バップやモードと演っていたD.バードもしっかり聴かなきゃ、、と反省している私ですが、やはり自分の耳が欲しがるのは本作も含め、ちょっと本道から外れた(?)D.バードだったりします、[5]のカッコよさも秀逸です。C.ウォルトンのpと2管が奏でるテーマにすっかりやられます!
無駄話:ずっと本作のタイトルを「Slow Drug」と思っていた私。”なんとクールなタイトルか!”と思っていたのですが、正しくは「Slow Drag」でした。はずかしー
ワタシは正直言ってバードの作品ならどれでも☆五つ付けるんだね、多分。(笑)バードはクリフォード・ブラウンの後釜としてジャズメッセンジャーズに入ってクリフォードの再来とか言われ、その気になってクリフォード流(笑)を極めるんだが(ワタシ的には五十年代におけるペット吹きとしての力量はリー・モーガンより遥かに上ですね…)最初のブルーノートのリーダー作「オフ・トゥ・ザ・レイシズ」出してから、如何にしてクリフォードの幻影から逃れるかって考え始めてると思うんだね。じゃあ自分が他のペット吹きに勝ってる要素って何?って考えると… やっぱりブルースだろ?って即座に思ったはず。だってコテコテのブルース吹いて凄い!と思わせるフィーリングと力量を合わせ持ってるペット吹きなんてサッチモとクラーク・テリーとバードだけでしょ、ホントに。だから二作目の「バード・イン・ハンド」の一、二曲目聴けば今作「スロードラッグ」まで音楽的にブレてないのが解るんだね。今後マイゼル兄弟と組んで電化しようがボーカル入れようが全く同じ、むしろブルース色が強くなる。ワタシは元々ブルースからジャズに入ったんでバードはどの時代でも好きなんだよね、マイルスとの一番の違いはそこ!マイルスはブルースできないからね、だから音楽的にブレっぱなしなんだよね。最後の曲に誰も聴かないだろうから遊んでやろうかって感じでマイルスを小馬鹿にした様なの入れてるよね、凄い笑える、バードって茶目っ気あるからね。このアルバムはもう一曲目の格好良さに尽きるね、最高のブルースだろ?ってバードがニヤニヤ笑ってるのが見えるね。
60年代後半はまさにブラックミュージックにとって大きな変節点となりうる時代だったのではないだろうか。マイルス・デイビスがいち早くエレクトリックサウンドを取り入れたのが68年のイン・ザ・スカイだとすると、それ以後は堰を切ったように、ブラック・ファンクやソウルとの相互乗り入れが行われ、いわゆる正統派、主流派のジャズが揺さぶられていくのであった。このアルバムもまさにその頃の動向と無縁でなく、まだアコースティックは維持しているもののファンキーでアーシーなテイストを持っている。バードのトランペットも快調で軽快なサウンドとハードポップのキャリアを見せ付ける貫禄を感じることが出来る。コルトレーンの死、そして新たな波がブラックミュージックに大きなうねりをもたらす予兆をみせている。

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