ドナルド・バードは一番好きなトランペッターだ。磨きぬかれたクリアなトーンと、はらわたをよじりたくなるようなファンキーなセンスを持ったプレイヤー。敬意を払いたくなるのはマイルス、酔いしれるのはモーガン、テクニカルなハバード、でも一番カッコいいのは彼。さてこの一枚、翌年に鮮烈のデビュー作を発表するハンコックの影響か新しい風も感じるが、この後路線を変えていくドナルド・バード としてはハード・バップ的な音楽の集大成といえる内容だろう。そして彼らしい個性が際立つファンキーでゴージャスな楽曲が並ぶ。突き抜けるトランペットももちろん最高だし、カフェインとタバコの匂いがこびりついたようなペッパー・アダムスのバリトン・サックスも いい味出してる。ハンコックもファンキーなピアノで大貢献。ジャケもイケてるが、内容もドナルド・バードらしい豪華なステージだ。
ブルーノートに数多くのアルバムをのこしたバードだが、フュエゴやRoyal Flushなどはとりわけファンキーで60年代初頭の雰囲気を伝える人気盤だ。本アルバムではバリトン・サックスのペッパー・アダムスが参加しており重心の低いアンサンブルによってバードの華やかさがひときわ強調されていて興味深い。Hush 、Shangri-La 、Requiemなどファンキーな曲ばかりだが、唯一ビリー・ホリデーが歌って有名なバラード I'm a Fool to Want You を切々と歌いこなすトラックが印象的で、谷間に咲く花というイメージで好きだ。
誰が聴いても{ジャズの王道}と思うのでは?#ドナルド・バードが61年に録音した名盤である。注目すべきは当時無名に近かったハービー・ハンコックの参加である。モダンなハーモニーを加える彼の鮮やかなピアノが,アルバム全体の印象を決定づけている。
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