1. Ghana
2. Little Boy Blue
3. Gate City
4. Lex
5. Bo
6. My Girl Shirl
7. Child's Play
8. Carol
9. Soulful Kiddy
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Donald Byrd (tp)
Hank Mobley (ts)
Duke Pearson (p)
Doug Watkins (b)
Lex Humphries (d)
Rudy Van Gelder Studio,
Englewood Cliffs, NJ, January 17, 1960 |
かつてジャズ・トランペットを練習していた者として、ドナルド・バードは非常に親しみやすく参考になるプレイヤーでした。サッチモ、ガレスピーやマイルスやチェット・ベイカーのような唯一無二の個性で聴かせるわけでもなく、クリフォード・ブラウンやリー・モーガンやフレディ・ハバードのような技巧はなく、比較的出し易い中音域でプレイするからです。このアルバムは、ラテン系あり、バラードあり、正統派のバップあり、と音楽的にも多彩で非常にお得な一枚です。「バードの4000番台」というと普通はまず「フュエゴ」が挙がりますが、このアルバムは僕にとって、テーマが非常にメロディックで分かりやすい、という点で4000番台で一番お気に入りです。
私はドナルド・バードがあんまり好きではないし、本作は彼にとってベスト・プレイに入らないと思う。だから決して5つ星,4つ星の名盤とは思わない。しかし、購入してから10年以上たっても、本作を手放すことができない。それは、ハンク・モブレー、ジャッキー・マクリーンの2人が素晴らしいから。
まず、モブレー(1,3,4に参加)。「ソウル・ステーション」の約1月前の絶頂期の録音だけあって、流麗かつ余裕に満ちた演奏。特に1のモブレーのソロは私の中でモブレーのベストソロの1つ。ドナルド・バードのエキゾチックな曲想にぴったりの、ハードボイルドでドラマテッィクな素晴らしいソロだと思う。
それから、マクリーン(5,6に参加)。マクリーンにとっては「ジャッキーズ・バッグ」の「B面」のセッション(「アポイントメント・イン・ガーナ」を含む方)の約2ヶ月後にあたる。このころのマクリーンは(多分)ハードバップの枠から意識的にはみ出そうとしており、そのはみ出し方が格好良い。本作でもごく普通のブルースの5の中で、マクリーンだけが尖っており、(良くも悪くも)そういうところのないリーダーとの違いを見せている。そのほか、レックス・ハンフリーズのプチ・フィリー・ジョーともいうべきドラミングと、名曲(と言われる)6曲目「マイ・ガール・シャール」も聴きもの。ドナルド・バードも悪いわけではありません。
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