ジャズとかポップスだとかといった括りに捉われず、バラードが好きです。コルトレーンの「バラード」もすばらしいですが、デクスター・ゴードンのこのアルバムは本当に心に染み入るサックスの音色を聴かせてくれます。ゴードンのテクニックがどうだとか理屈っぽいウンチクは抜きにして、一度聴いたらこのアルバムの良さがわかります。国内版がないのが信じられないくらい。
デクスター・ゴードンの生演奏を3回ほど聞いた事がある。いずれも70年代の終わりごろで、ヨーロッパがコペンハーゲンのカフェ・モンマルトルとオスロのClub7で、もう一回は日本(大分)でのことだ。長身でゆったりとしたステージ捌きのゴードンは、いずれのステージも演奏が終わるたびにサックスを両手で持ち上げ礼をしていた。ダンディかつ風格のあるゴードンだが、演奏中はダークな力強い音色でモーダルなフレーズを吹きまくり圧倒的なパワーで格の違いを見せ付ける。このアルバムは晩年の作品だが、相変わらず豪快なトーンで歌心たっぷりと聞かせてくれる。Darn That DreamやDon't Explain、I'm a Fool to Want Youといったスタンダードはいつきいても心に響く。しかし僕がライブで聞いた70年代と比較して、マウスピースの閉め具合がゆるくなっているように思う(年齢的に無理か)。コールマン・ホーキンスのような巨匠の域に達し悠々と吹く姿はうれしいが、もう少しハードなゴードンの方が彼らしい気がする。コルトレーン、デクスタ・ゴードンという巨人の亡き後、ロリンズに少しでも長生きして巨匠のプレイを聞かせて欲しいと願うだけである。
DEXTER GORDONのブルーノートのアルバムからバラードを集めたCDです。ほとんどがワン・ホーンで極上のバラードを聴かせてくれます。彼のプレイにある野太いトーンとフレーズやエンディングによく吹かれる枯れたような・・・そしてハスキーな音にビブラートをつけるスタイルが大好きです。「ラウンド・ミッドナイト」の映画にでてくる一場面に道端でオータムインニューヨークを吹いている姿が蘇えります。今は天国で楽しく演奏しているのかなぁ・・・。ジャケットの最高に渋い! |