”Because”からいきなり全開のChihiro Worldだ。やっぱお行儀よい顔は彼女には似合わない。転調、転拍子、変拍子、表裏異なるリズムなど変幻自在にドライブするサウンドに乗ってピアノ、B-3を弾き捲る。数曲でフューチャーされるタブラはBeatles ”ゆかりの”インド音楽とともに大西順子の”Baroque”からのインスパイアも感じる。”Yesterday”ではギターを(何故このスタンダードに?)シタールっぽい音響効果のために用いたり。そして意表を突く超スローボール”Honey Pie”では何とハーモニカまで奏でる。(でもこれが一番オリジナルに近い表現なんだけど...)彼女はプレイヤーとしてももちろん素晴らしいが、パロディとかシニカルとかのスパイスと特異なリズム感覚を持ったオリジナリティ溢れる音楽の構築家であることを再認識した。聴き返すほどに高まる疾走感。 ...喪失感。そしてまたPlay on!!
単純に「何を選曲したんだろう?」という興味本位での入手。もっとも「Heare,There and Everywhere」が入っていたらというのも理由の一つではありますが。もちろんビートルズの楽曲のみではなく彼女のオリジナル曲も収録されています。ビートルズが好き、という人よりは、昔、ビートルズを聴いていた、聴いたことがあり、かつ現在はJazzが好きな、山中千尋が好きな人たちに対してのアプローチのように感じます。なぜ、この曲を選んだのか、ということが一番知りたいのですが、あいにくCDジャケットにはその解説はまったくなく。(もちろんLiveではお話いただけるものとは予想していますが)コストと締切の関係もあるのでしょうが、「Yesterday」なんて完全に聴く側の予想を裏切ってくれるくらいの斬新な切り口で攻めていっていますので、限定版と銘打っている以上はつけていただければよかったと思います。で、一方で、ポールがスタンダードを歌うアルバム(キス・オン・ザ・ボトムなんてものを今年発売しているわけで、どういうわけだか同じ年に発売されているのも偶然にしろ面白いです。そんな中での9月から始まる日本国内ツアーにおいては収録曲のみならずファンからのビートルズリクエストにも応える予定とのこと。どんな曲が選ばれるのか楽しみです。
|