Krupa and Rich

Full Album   

内容はアメリカを代表する二人のドラマーによるドラム合戦だが、ソロによる応酬は意外とパーセンテージが低く、一曲目がリッチ、二曲目が二人、三曲目以降は個々の演奏が主体となっている。それぞれの持ち味を充分に生かしたアレンジ、スピード感に満ちた華々しい演奏、的確なプロデュースだが、専ら関わった全員がともにいい音楽を構築しようとするその心意気がこの作品を非常に充実させている。６０年代にビニール盤、あと１９８０年代にカセットでWalkman jazz(discman jazzも）シリーズで出た分にもここにない素晴らしいセッションも含まれており、中古盤などで見かけたら一瞥されたらいいと思う。そちらにはモダン以前の旧スタイルのjazzも含まれている。個人的には当時御大・巨匠になろうかというキャラ立ち過ぎの二人が見事に融合した堂々たる二曲目に胸が踊る。とても深いjazzだ。you-tubeで映像も見られる。そちらはサミー・デイヴィス・ショーからのショーケース的なつくりだが、それをしても少々とっぱずれた感じのジーンと大人なリッチという性格が見て取れ興味深い。どの曲も後半になるとヤケクソ気味な破壊力をみせるこの二人の天才に牽引されて、プロデューサーN.グランツが集めた豪華絢爛たる面子が、ビッグ・バンドの如くの音圧で迫る。モノラル録音のせいもあるが、エルドリッジとガレスピーが似ていて、かつてのアイドルであった関係性からか、それともこの作品でのアイデアか中々面白いところだ。

1 Buddy's Blues
2 Bernie's Tune
3 Gene's Blues
4 Sweethearts On Parade
5 I Never Knew
6 Sunday
7 The Monster

Gene Krupa (ds)
Buddy Rich (ds)
Roy Eldridge (tp)
Dizzy Gillespie (tp)
Illinois Jacquet (ts)
Flip Phillips (ts)
Oscar Peterson (p)
Herb Ellis (g)
Ray Brown (b)

Recorded 1955.11