Boss Horn

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　 Boss Horn

Full Album

Full Album 2

ブルー．ミッチェルのバンド、チック．コリア、ジーン．テイラーとアル．フォスターというレギュラーのリズムセクションの時代の作品はいずれも好盤なのです。時代的にジャズロック?ブーガルー的な色合いが濃くなり、しかも本作はデューク．ピアソンがホーンアレンジを書いた4管という楽しいアルバムです。Dave BurnsのRigor Mortezなんていう隠れた名曲もあり、実に楽しい。で、最後2曲はチック．コリアのオリジナルになるんですが、これが比較的シリアスなストレイトアヘッドになってて全体の印象がちょっとバラバラになる感じなんです。チック名義のものに較べたら音楽はかなり丸い感じの造りではあるんですが、アルバムの統一感としてちょっと勿体ないのかな、と。若いサイドマンであるチックをフィーチャーしたいブルー（もしかしたらプロデューサーかも）の意図が足を引っ張った感がするのがなんとも勿体ないのです。Things to doみたいなストレイトアヘッドなものだとここまでの違和感はないのですが、ジャズロック的な要素が強い中でのチックのモダンな曲っていう組み合わせだとどうしても仕方ないのか、と。逆にいうとチック名義のアルバムとの尖り具合の違いなんかを楽しめる、っていいうのもあるんですけどねー。

1. Millie
2. O Mama Enit
3. I Should Care
4. Rigor Mortez
5. Tones For Joan's Bones
6. Straight Up And Down

Blue Mitchell (tp)
Julian Priester (tb)
Jerry Dodgion (as)
Junior Cook (ts)
Pepper Adams (bs)
Cedar Walton (tracks: 1 to 4), Chick Corea (tracks: 5, 6) (p)
Gene Taylor (b)
Mickey Roker (ds)

Recorded 1966.11.17

清貧派（？）トランペッター、ブルー・ミッチェルにしては珍しいゴージャスな作品。ホーンはミッチェル(tp)、ジュリアン・プリースター(tb)、ジェリー・ドジオン(as)、ジュニア・クック(ts)、ペッパー・アダムス(bs)の５管でオクテットの編成。リズム隊もシダー・ウォルトン（一部チック・コリアに交替）、ジーン・テイラー、ミッキー・ローカーという豪華さ。しかも、アレンジャーとしてデューク・ピアソンの名前もクレジットされている。清廉潔白がセールスポイントのミッチェルさんがこんなバブリーな作品を残してしまって良かったのだろうか･･･。（ホントは良かったと思ってますよ。）まず１曲目"Millie"はピアソンの曲で、リー・モーガンのサイドワインダーを髣髴とさせるジャズ・ロック路線。ミッチェルはＲ＆Ｂバンド歴もあるのでこの手の音楽は苦手ではないはずだが、フレーズが薄味＆マジメ過ぎるような気がしなくもない。２曲目"O Mama Enit"はミッチェル作曲のカラフルなラテンナンバー。シンプルなフレーズが微笑ましい。３曲目"I Should Care"は清貧派ミッチェルでなければ出せない深い味わいに満ちている。ミディアムテンポでのミッチェル節が120%堪能できるし、ウォルトンのバッキングとソロが絶妙な旨さである。このＣＤの最大の聴きどころ。４曲目"Rigor Mortez"はデイヴ・バーンズ作曲のファンキー・ナンバー。どことなくホレス・シルバー風な曲である。５曲目と６曲目はウォルトンからチック・コリアに交替し、曲もコリア作品を取り上げているために雰囲気がこれまでのイケイケ風からいきなりインテリ風になってしまう。５曲目"Tones For Joan's Bones"はフレディー・ハバードが登場しそうな曲調だが、ミッチェルが予想以上にカッコよくシンプルに吹いている。さすがは筋金入りの清貧派である。６曲目"Straight Up and Down"でもミッチェルは頑張っているが、何とソロの途中でサックスに割り込まれそうになるハプニングが発生。何故かとり直しなしでそのまま収録されている。ＢＮもこの頃にはヤッツケ仕事が多かったのだろうか。録音はあまり良くない。USA盤のRVG Editionを購入したが、低域が歪んでいたり高域が詰まっていたりと、問題だらけの録音である。しかも、１曲目冒頭の全体的な歪みと５曲目最後のエコーはマスタリング上のミスと思われる。RVGだからといって全て録音が良いとは限らないようだ。

by ジャズアルバム紹介