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  Big 6

 

Full Album     

本作は、当時主流であった古き良きハードバップの薫りを湛えた佳作である。メンバーは『ビッグ・シックス』の名の通り豪華で、フロントをブルー・ミッチェル、カーティス・フラー、ジョニー・グリフィンが固め、リズムをウィントン・ケリー、ウィルバー・ウェア、フィリー・ジョーが担っている。この面子なら悪い作品ができるわけも無い。 曲目において注目すべきは1曲目「ブルース・マーチ」、3曲目「あなた無しでは」と6曲目「サー・ジョン」。うち3曲目はブルー・ミッチェルのワン・ホーンで録音されている。典型的ブローイング・セッションではあるものの、考えすぎないジャズの良さが本作には確実にある。同レーベルでのミッチェルの作品『ブルー・ソウル』は、テナーがジミー・ヒースに変わっているのみで、「マイナー・ヴァンプ」「今宵の君は」「ポルカドッツ・アンド・ムーンビームス」「ニカの夢」という名曲揃いの良盤なので、本作を気に入った方はこちらもどうぞ。

1. Blues March
2. Big Six
3. There Will Never Be Another You
4. Brother 'Ball
5. Jamph
6. Sir John
7. Promenade

Blue Mitchell (tp)
Johnny Griffin (ts)
Curtis Fuller (tb)
Wynton Kelly (p)
Wilbur Ware (b)
Philly Joe Jones (ds)

Recorded 1958.07.02,03

ブルー・ミッチェルの目立たない初リーダー作は玄人受けする名盤   何とも味気ないジャケットだ。中央の小ぶりの写真には6人のオジサン(お兄さん、と呼ぶべきか)たちが窮屈に写りこみ、その周囲は主に青系の配色で色分けされた帯状の部分に6人分のアーティスト名が黒字で記載されている。加えてジャケットの右上部、オレンジ地の部分には、アルバムタイトルの『Big 6』の文字(黒字)とレーベル(Riverside)やレコード番号を記した小さな文字(白字)。以上の文字部分は、特別洒落た字体や凝った字体なわけでもない。加えて、上で述べた各部分は白地の上に並べられているだけあって、個人的にはごちゃごちゃした印象を与えるものである。   とまあ、悪口を言っているかのような書き出しにしてしまったが、決して中身はそうではない。ジャケットがごちゃごちゃした印象であるとするならば、アルバムの内容はまったくその逆で、見事な息の合いようである。ジャケ買いをすることはなくとも、“内容買い”をすることはある、そんな盤だ。   上記ジャケには、参加メンバー全員の名が記されている。最上部にはブルー・ミッチェル(Blue Mitchell、トランペット奏者)の名。写真の左右には、横向きにフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones、ドラム奏者)とウィントン・ケリー(Wynton Kelly、ピアノ奏者)。写真真下にはジョニー・グリフィン(Johnny Griffin、テナー・サックス奏者)の名がある。さらに、最下部には、ウィルバー・ウェア(Wilbur Ware、ベース奏者)とカーティス・フラー(Curtis Fuller、トロンボーン奏者)の名が記されていて、これが本盤の演奏メンバー全員ということになる。ここまでの名を見れば、ジャケ買いしなくとも、メンバー構成で“内容買い”しそうな盤ということになる。   豪華メンバーが揃ったからといって名盤になる保証がないのは、周知のとおりである。1曲目の「ブルース・マーチ」が勇壮な行進曲調で始まり、なおかつ10分の長尺なだけに、とっつきにくいのは事実だと思う。よく聴けば、これはこれでよくできているし、フロント(管楽器)のソロ部分は筆者も結構好きなのだけれど、そもそもこの曲調に馴染めなければ、思い切って次の曲から聴いてみよう。表題曲の2.「ビッグ・シックス」以降は、普通のブローイング・セッション風で、いわば普通にシンプルなジャズを展開している。とはいえ、ただただフロントの3人が好き放題吹きまくっておしまい、という適当な内容ではなく、それぞれの個性と特徴がいいバランスで混ざり合った印象を与える。このバランス感覚は、やはりリズムセクション(とりわけ、ウィントン・ケリーのピアノとフィリー・ジョー・ジョーンズのドラム)の安定感から来るものなのだろうと感じる。こうした観点に立って、本盤中で特に筆者が好きなのは、上記2.に加えて4.の「ブラザー・ボール」である。   なお、3.「ぜア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」だけは、ブルー・ミッチェルのワン・ホーン(他の管楽器はなし)である。ミッチェルのトランペットの特徴(彼のトランペット演奏を集中的に堪能したい方は、ぜひ『ブルーズ・ムーズ』をお試しいただきたい)が存分に発揮された1曲で、本盤が彼のリーダー作であったことを再認識させてくれる1曲である。実際、1958年に吹き込まれた本盤は彼にとって最初のリーダー作で、その後60年代にかけてリーダー作を順次発表していくことになる。本盤の最後の曲である7.「プロムナード」は、2分足らずの短い演奏だが、“もう少し続いていて欲しい”、“終わらないでいて欲しい”というリスナーの名残惜しさをかきたてる演奏で、続く他のリーダー作を聴こうという気にさせてくれる小品になっているところも憎い演出(?)に仕上がっている。
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