これが、Scott LaFaroとの2年半しかなかった付合いの初録音です。マイルス・バンドでの経験と、独自の志向とが結実して、正に新時代を開いたこの時期の演奏が、結果的にも最高の到達点であった、という粟○さんの意見は、辛口ながら正しいと言わざるを得ません。結構強力なスイング感や、小節の枠を超えながらも曲想を見失わないソロの構成力には、驚嘆した人が多い筈です。「1 Come Rain or Come Shine」、「2、3 Autumn Leaves」、「5 When I Fall in Love」、「What is This Thing Called Love」、「8 Spring Is here」、「9 Someday My Prince will Come」、「10 Blue in Green」と好演奏ばかりで、唸ります。稀代の名演である「2、3 Autumn Leaves」は、ステレオ初期に、モノ盤とステレオ盤とが並行して発売されていた時期の名残です。この時期には、両者のため別々の演奏が録音されるのが常であり、この盤の場合もそうだったのに気付いた人が、いずれ甲乙付け難い名演なんで、再発売時からは両方とも収録すべきと要望して、実現しています。ステレオが当たり前の時期になってからも、これは踏襲されており、近年の盤では二通り収録するようになっています。