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  Empathy

 

Full Album   

Full Album 2   

西海岸の名ドラマー、シェリー・マンとの顔合わせが話題を呼んだエヴァンスのヴァーヴ移籍第1弾。「ダニー・ボーイ」が、こよなく美しい作品。
この「エムパシー」というアルバム、卓越したベーシストであり、エヴァンスの盟友でもあった、スコット・ラファロを亡くした、失意のエヴァンスが、そんな悲劇を乗り越えて、リバーサイドレーベルから、ヴァーブに移籍してからの第一作です。あまり、ラファロ云々をくどく言いたくないのですが、エヴァンスのキャリアにとって、重要な事件だったことは事実ですので、触れざるを得ませんでした。西海岸の名ドラマー、シェリー・マンとの共作と言う、異色の顔合わせでも有名な本作です。

1. The Washington Twist
2. Danny Boy
3. Let's Go Back To The Waltz
4. With A Song In My Heart
5. Goodbye
6. I Believe In You

Bill Evans (p)
Monty Budwig (b)
Shelly Manne (ds)

 

Recorded 1962.08

ピアノが、ビル・エヴァンス(Bill Evans)ベースが、モンティ・バドウィッグ(Monty Budwig)ドラムスが、シェリー・マン(Shelly Manne)の、ピアノトリオとなっております。全6曲、35分強の演奏ですが、最後まで、お楽しみ下さい。まずは、1曲目、「ワシントン・ツイスト (THE WASHINGTON TWIST)音をトリオが刻みながら、陽気な出だしで始まります。そして、サビを痛快に演奏するエヴァンス、頑張って、元気を出している姿が、目に浮かぶようです。沈鬱な感じは、全くありません。シェリー・マンとベースとのインタープレイというか、親密感も、なかなかのものです。ただ、エヴァンスのピアノが主体であるというイメージが、リバーサイドの作品よりは強いと、私は思います。それでも、エヴァンスの絶妙なアドリブの後、ベースソロが入ります。エヴァンスのピアノも、ドラムスもからみながらの、やはり、インタープレイの概念を引き継いだ、演奏です。ベースソロの後、再び、冒頭の演奏に戻った形になります。さすが、ジャズの巨人、ビル・エヴァンスという、軽やかな演奏の裏に、強い意志を感じさせる演奏です。ドラムスのシェリー・マンのからみ方も、最高です。結構、派手だけど、押しつけがましくない、そんな演奏です。しばらく曲が展開した後、再び、冒頭のサビの演奏に戻って、フェイドアウトします。2曲目、「ダニー・ボーイ (DANNY BOY)」この「ダニー・ボーイ」は、出だしから、神がかり的な、この上なく美しい、感涙にむせばずにはいられない演奏です。ジャズの世界広しと言えども、これだけ、人の心を打つ、限りなく美しい演奏が、他にあるでしょうか。テクニックだけではない、エヴァンスのありのままの心の奥底の美しさが、音となって表れた、究極の演奏と言っても過言ではないと思います。このアルバムが売れに売れている所以も、この曲のインパクトが一因ではないかと思うほどです。是非、ご試聴だけでも、なさってみて下さい。出だしのサビの演奏を聴いただけで、何度聴いても、感動を覚えます。控え目に、寄り添う、ベースとドラムスにも、好感が持てます。転調した後も、究極の美には変わりがなく、天国のラファロへの贈り物のような気持ちにすらさせられます。とにかく、ジャズをお聴きになっているなら、この演奏は、絶対に、一度は、聴いてみて頂きたいものです。アドリブもなく、2コーラスで終わります。

3曲目、「レッツ・ゴー・バック・トゥ・ザ・ワルツ (LET'S GO BACK TO THE WALTZ)
いつもの、リリカルさとアグレッシブさの絶妙のバランスの上に立って演奏するエヴァンスに戻ります。出だしから、快調に、サビを演奏します。ベースとドラムスも、2曲目とは違って、積極的に参加します。そして、ベースソロ。ピアノも、ドラムスもからんだ、最高のインタープレイを聴いて取ることができます。その後は、「完全復活」と言った感じの、アグレッシブなエヴァンスのアドリブに移ります。テンポも上がります。終盤は、ややテンションも下がり気味ですが、平常心のエヴァンスを聴くのも、ファンにとっては、何よりの楽しみの一つです。異色の顔合わせが生んだ傑作の一端が垣間見れる演奏です。そのまま、終わります。4曲目、「わが心に歌えば (WITH A SONG IN MY HEART)」ベースのイントロに、ドラムスがからんで、曲が始まります。そこにエヴァンスが乗っかって、軽妙な演奏がなされます。三人のインタープレイが楽しめます。9分強の長い演奏です。すぐにベースソロ。しかし、ピアノも、ドラムスも、音のやり取りを止めません。この辺の、三者一体の演奏は、ラファロ亡き後も、しっかりとエヴァンスがジャズ界に根付かせた印象を受けます。リバーサイド四部作がエヴァンスの全て、という訳では、全くないと、私は思います。そして、エヴァンスのアドリブ。彼独特のコード演奏と言うか、「採譜しようにも、誰にも真似できなかった」という逸話を持つ、エヴァンスの、和音を駆使したピアノプレイが、存分に披露されます。一旦休止した後、今度はドラムスソロ。名手、シェリー・マンの演奏を存分に楽しめます。そこに、エヴァンスのピアノがからんできて、本線復帰。さすが、名プロデューサー、クリード・テイラーという、絶妙のプロデュース力を感じます。再び、一度、曲が止まったかのような時間が時間が流れ、インタープレイがなされながらも、まるで、エヴァンスのピアノソロのような、そして、彼が詳しかったラヴェルなどの影響を感じさせる、クラシックにも近い、非常に独創性の溢れた、前衛的な演奏がなされて、そのまま、終わります。5曲目、「グッドバイ (GOODBYE)」ちょっと物憂げな感じの出だしです。アルバムの構成的には、いいアクセントンになっていると思います。エヴァンスワールドとでも言いましょうか、精神性の極限が音に表現されたかのような、繊細なピアノが聴けます。ピアノがメインで、音量も静かながら、インタープレイが損なわれていないのも、この曲の魅力です。アドリブへの移り方も、ごく自然で、エヴァンスのテクニックの素晴らしさにも、改めて驚嘆します。ベースソロも、ドラムスソロもないまま、曲は進行して、終盤に差し掛かります。最後は、ピアノのサビの演奏で終わります。「ROUND MIDNIGHT」と似た曲調に聴こえる一曲でもあります。6曲目、最後の曲、「アイ・ビリーヴ・イン・ユー (I BELIEVE IN YOU)」ベースの神妙なイントロに、ドラムスもからんだかと思うと、一転、アグレッシブなエヴァンスが登場します。サビを爽快に演奏するエヴァンスは、絶好調という感じすら受けます。インタープレイも、確実に、同時進行しています。アルバムのさわやかな終わり方としては、とてもいい選曲、演奏ですジャズの世界を駆け抜けていった巨星、エヴァンスの魅力が、この曲にも、充分に、表れています。アドリブに入ったかと思いきや、再び、エヴァンスのサビの演奏、そして、本格的なアドリブに入ります。そして、一瞬、曲が止まった後、すぐにエヴァンスのサビの演奏。それから、軽やかなアドリブ。聴いていて、すがすがしい気持ちなる、そんなアドリブです。今度は、ベースソロ。エヴァンスがからんで、また、曲が一旦止まったかと思うと、再び、ピアノがサビの演奏に戻ります。自由自在にピアノを操る、エヴァンスの珠玉のプレイが堪能できます。そして、また、一瞬止まったかと思うと、エヴァンスのサビの演奏。心にくい配慮と言うか、構成と言うか、演奏上の気配りですね。そのまま、終わります。以上で本作のご紹介を終えますが、いかがだったでしょうか?大変素晴らしい作品ですので、是非、ご試聴だけでも、なさってみて下さい。

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