ロサンジェルス生まれのボビー・ハッチャーソンはピアノから音楽に入った。ミルト・ジャクソンやマイルス・デイビス、セロニアス・モンク等を聴きジャズに興味を持つようになる。友人のベーシストからの「ヴィブラフォンを買ってバンドに入らないか?」という誘いがきっかけとなってこの道に入る。後にデイブ・パイクにヴィブラフォンの手ほどきを受ける。1961年にニューヨークへ進出し頭角を現すようになり、1963年にはジャッキー・マクリーンの「One Step Beyond」に参加、続く1964年にエリック・ドルフィーの「Out to Lunch」、アンドリュー・ヒルの「Judgment」への参加で一躍注目を集める。1965年、初リーダー作「Dialogue」をブルーノートからリリース。以降新主流派のヴィブラフォン奏者として数多くの作品を同レーベルに残した(特に1966年発売の「Happenings」はハービー・ハンコックの参加もあり、今日でも人気のある作品)。また、この頃からヴィブラフォンに加えてマリンバを使ったスピード感に溢れた演奏を披露している。1970年代に入って新主流派ジャズが下火になるとラテン、R&B、ファンク等のフュージョン的な作品が連なるが、ヒットには至らなかった。1980年代以降はストレート・アヘッドなジャズに戻り、風格のある演奏で再び多くのジャズファンから注目されている。1960年代から1970年代にかけての演奏はモーダルで鋭いアプローチ(リズムも含む)が人気で、背景にはエリック・ドルフィーやジョン・コルトレーンの影響があった。近年はオーソドックスでモダンな演奏に人気がある。